
私の原点は、家業である繊維業が斜陽産業となり、苦労を重ねる父と母の姿を間近で見てきたことです。いつか必ずリベンジし、両親に「成功している自分の姿」を見せたい——その想いが、私の背中を強く押しました。 初めてのアルバイト先はCOCO壱番屋でした。創業間もない頃で、創業者の方や社員の皆さんが人生をかけて仕事に向き合っている姿に心を打たれました。特別なスキルがなくても、無我夢中で取り組む力が大きな成果を生むことを知り、「自分もこのチームの一員になりたい」と強く思うようになりました。 そして何より、自分の人生のキャンバスを自分の手で描けることへのワクワク感が創業を決意させました。タイムカードを押す働き方ではなく、自分の意思で未来をつくる毎日。その自由さと責任が、私の情熱をさらに燃え上がらせました。創業当時の苦労についてよく聞かれますが、正直なところ「苦労した」と感じたことがありません。もちろん簡単だったわけではありません。毎日が挑戦で、問題も山ほどありました。 それでも苦労と感じなかったのは、自分の人生を自分で描けることが嬉しくて、夢中で走り続けていたからです。目の前の課題に向き合うことが楽しく、成長していく実感があり、気づけば”苦労”という言葉を使う余裕もないほど没頭していました。振り返れば、あの時期は私にとって大きな財産です。苦労を苦労と思わないほど全力で挑戦できる環境こそが、創業期の最大の魅力でした。
「いい店づくり」という考えが生まれたのは、COCO壱番屋で初めてアルバイトをした18歳の頃です。当時の私は調理も接客もしたことがなく、マニュアルもない時代でしたから、すべて自分で考えて行動するしかありませんでした。そんな中、お客様から「おいしかった、また来るね」と言っていただいた瞬間、飛び上がるほど嬉しくて胸が熱くなりました。この体験が私の原点です。 その後先輩から「お客様を第一に考えて行動しなさい」と教わり、特に”行動することはすべてに優先する”という姿勢を叩き込まれました。ご来店くださるすべてのお客様に喜んでいただき、次はご友人やご家族を連れて来ていただけるようにどう動くべきかを、常に考え続けるようになりました。 また、半年後には大型店舗の開発が進み、後輩スタッフも増え、私はリーダーとして期待される立場になりました。未熟な私は後輩たちへどう振る舞えばいいのか分からず、店長に相談したところ「率先垂範しなさい」と言われました。自ら先頭に立ち、行動で手本を示すという意味です。この言葉はその後の私の仕事観を大きく変え、リーダーとしての核となりました。 そしてビジネスの究極は永続することです。いい店だったがつぶれてはお客様の期待に答えられないし、スタッフみんなの雇用もできない。どうすればいいのか——そうです、永続的に利益を出すことです。そのために学んだのが近江商人の「三方よし」の考え方です。「お客様満足」「スタッフ満足」「会社の適正な利益」——これが”いい店”の条件です。社員の皆さんと一年かけて考え、これがホープの理念となりました。
